「どうして私の家にばかりゴキブリが入ってくるの?」と、嘆いている方はいませんか。その答えは非常にシンプルです。それは、あなたの家がゴキブリにとって、非常に魅力的で住みやすい環境だからに他なりません。ゴキブリは、ただやみくもに家に侵入してくるわけではありません。彼らは、生き延びて子孫を繁栄させるために最適な環境を、鋭い嗅覚と本能で探し求めているのです。彼らが家に求める魅力的な条件は、大きく分けて三つあります。それは「餌」「水」「隠れ家」です。まず「餌」。人間の食べ物は、ゴキブリにとって最高のごちそうです。キッチンのシンクに放置された食べ残し、床に落ちたお菓子のクズ、油汚れが付着したコンロ周り、蓋の開いたゴミ箱など、これらはすべてゴキブリを強力に誘き寄せる匂いの元となります。彼らは雑食性なので、人間の髪の毛やフケ、本の糊でさえも餌にしてしまいます。清潔にしているつもりでも、わずかな汚れが彼らを呼び寄せているのです。次に「水」。ゴキブリは餌がなくても数週間は生きられますが、水がないと数日で死んでしまいます。そのため、水場の確保は彼らにとって死活問題です。キッチンのシンクに残った水滴、お風呂場の湿気、観葉植物の受け皿の水、結露した窓など、家の中には彼らの喉を潤す場所が溢れています。そして「隠れ家」。ゴキブリは、暗く、暖かく、狭い場所を好みます。家具の裏や冷蔵庫の下、物置に積み上げられた段ボール箱、キッチンの収納の奥などは、外敵から身を守り、安心して卵を産むための絶好のシェルターとなります。もしあなたの家にこれらの条件が揃っているなら、ゴキブリはフェロモンを出して仲間を呼び寄せ、そこを拠点に繁殖を始めてしまいます。ゴキブリが入ってくるのは、運が悪いからではありません。彼らにとって魅力的な環境を、無意識のうちに私たちが提供してしまっている結果なのです。