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赤ちゃんや妊婦さんがいる家庭でのバルサン安全対策
抵抗力の弱い赤ちゃんや胎児への影響が心配される妊婦さんがいる家庭でバルサンを使用する場合、安全性への配慮は最大級レベルでなければなりません。メーカーの説明では「用法用量を守れば安全」とされていますがそれはあくまで一般的な基準であり心理的な不安を取り除くためにはより慎重な運用が求められます。まず妊婦さんについてですがバルサンの成分自体が直接的に胎児に奇形などの影響を与えるという報告はありません。しかし妊娠中は嗅覚が敏感になっており薬剤の臭いで気分が悪くなったりつわりが悪化したりする可能性があります。また使用後の掃除で体に負担がかかることも懸念されます。したがって妊婦さん本人は準備や始動、事後の換気・掃除には関わらず他の家族に任せて家から離れた場所に避難しているのが理想的です。次にハイハイや伝い歩きをする赤ちゃんがいる場合です。彼らは床に近い位置で生活し何でも口に入れて確かめる習性があります。床や家具、おもちゃに付着した微量の薬剤を舐めてしまうリスクは大人とは比較になりません。対策としてはおもちゃや衣類は完全に別の部屋に退避させるか厳重に密閉します。使用後はフローリング、畳、ジョイントマットなどを念入りに水拭きし薬剤を除去します。掃除機をかける際も排気で薬剤を舞い上げないように注意し換気を続けながら行います。寝具類は一度洗濯するか天日干しにするのが安心です。さらに言えば霧タイプや水タイプよりも「くん煙剤(煙タイプ)」の方が粒子が細かく部屋全体に拡散するため拭き取りきれないリスクを考慮すると子育て中は「毒餌剤(ブラックキャップなど)」や「粘着シート」による局所的な対策に切り替えるという選択肢も検討すべきです。どうしてもバルサンを使う必要がある場合は実家に帰省している間や旅行中など数日間家を空けるタイミングで行い帰宅後にお父さんが先行して徹底的に掃除と換気を行ってから赤ちゃんを迎え入れるという体制をとることを強くお勧めします。
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庭の黒い爆撃機クマバチと和解した日
私がガーデニングを始めたばかりの頃一番の悩みは虫でした。特に春になると庭に現れる巨大で真っ黒な蜂には心底怯えていました。「ブーン」という重低音が響くと私は反射的に家の中に逃げ込み窓越しにその様子を伺っていました。黒くて大きくて黄色い胸毛が生えているその姿はどう見ても凶悪で刺されたらひとたまりもないと思っていました。近所の人に相談すると「あれはクマバチだよ、危ないから気をつけな」と言われ恐怖は増すばかり。私はネットで最強の殺虫剤を探し庭に出る時は完全防備で臨むようになりました。しかしある日転機が訪れました。いつものように怯えながら花の手入れをしているとあろうことかその黒い蜂が私の目の前数センチのところでピタリと止まりホバリングを始めたのです。私は恐怖で凍りつき悲鳴すら出ませんでした。しかし彼は数秒間私をじっと見つめた後ふいっと向きを変えて藤の花の方へ飛んでいきました。攻撃されなかったことに安堵しつつ後で調べてみるとそれがオスのクマバチの習性であることを知りました。彼には針がなくただ私がメスかどうかを確認しに来ただけだったのです。その事実を知った瞬間肩の力が抜けました。「なんだ、ナンパしに来ただけか」と思うと急に彼が愛らしく思えてきました。それからというもの私は彼を「クマちゃん」と呼び観察するようになりました。彼が一生懸命に短い足で花にしがみつき重そうな体を震わせて蜜を集める姿や他のオスと空中で追いかけっこをする姿は見ていて飽きません。スズメバチが来るとさっと逃げる臆病なところも親近感が湧きました。今ではクマバチの羽音が聞こえると「今年も春が来たな」と嬉しくなります。無知は恐怖を生みますが正しい知識は理解と共存を生みます。もし庭で黒い蜂に怯えている人がいたら教えてあげたいです。彼らは見た目ほど怖くないしむしろ庭を豊かにしてくれる愉快な隣人なのだと。私の庭は今では彼らのためのレストランとなり黒い爆撃機たちは平和な羽音を奏で続けています。
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美しき青黒いハンタールリジガバチの奇妙な生態
黒い蜂の中には光の当たり具合によって瑠璃色(深い青色)に輝く宝石のように美しい種類が存在します。その代表格が「ルリジガバチ」です。体長は2センチ前後で全身が金属光沢のある青黒色をしており非常に美しい見た目をしていますがその生態はなかなかにグロテスクで興味深いものです。彼らは「狩り蜂」の一種でクモを専門に狩ります。家の軒下や壁の隅、神社の灯籠の隙間などに泥を使って壺状の巣を作ることもあれば既存の穴を利用することもあります。ルリジガバチのメスはクモを見つけると素早く毒針で麻痺させます。この毒は獲物を殺さず生かしたまま保存するための防腐剤のような役割も果たします。動けなくなったクモを巣に運び込みその腹部に卵を産み付けます。そして巣の入り口を泥で塞いで立ち去ります。孵化した幼虫は新鮮なクモの肉を食べて成長しますがその際クモの生命維持に重要な臓器を最後に食べることで餌が腐るのを防ぐという巧妙な本能を持っています。人間からすれば残酷な話ですがこれも自然界のバランスを保つためのシステムです。ルリジガバチは人間に対しては非常に臆病で攻撃性はほとんどありません。巣の近くに寄っても攻撃してくることはなくむしろ人が近づくとすぐに逃げてしまいます。彼らが家の中に迷い込んでくることがありますがそれは巣を作る場所を探しているか獲物を探している最中です。窓ガラスにぶつかってブンブン言っている青黒い蜂がいたらそれはルリジガバチかもしれません。毒々しい色に見えるかもしれませんが彼らにとってはただの保護色か構造色です。殺虫剤で殺してしまうのは忍びないのでティッシュやコップを使って優しく外に逃がしてあげてください。彼らは家の中に巣食うクモを退治してくれる益虫としてのポテンシャルも秘めています。その青黒い輝きは捕食者としての冷徹さと生命の輝きを同時に放っているのです。自然観察の対象としてこれほど美しく機能的な昆虫はなかなかいません。
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ベランダの壁に泥の塊?クロドロバチの建築術
ある日ベランダの壁や軒下、あるいは室外機の裏などに土でできた不格好な塊が付着しているのを見つけたことはありませんか。それは誰かのいたずらではなく「クロドロバチ」や「オオクロバチ」といったドロバチ類の巣かもしれません。ドロバチはその名の通り泥をこねて巣を作る蜂の総称でその多くは黒色をしており腹部に黄色やオレンジの帯が入っているものもいます。彼らは水場や湿った地面から適度な粘り気のある土を集め唾液と混ぜ合わせて丈夫な巣を作り上げます。その建築技術は素晴らしく壺のような形をしたものや煙突のような入り口を持つもの、竹筒や壁の穴を利用して泥で蓋をするものなど種類によって様々です。巣の中には麻痺させた青虫や蛾の幼虫が詰め込まれそこに卵が産み付けられます。孵化した幼虫は新鮮な餌を食べて育ち成虫になって泥壁を破って出てきます。ドロバチ自体は非常に大人しく攻撃性は低いです。巣の近くを通ったり洗濯物を干したりする程度で襲ってくることはまずありません。巣を棒でつついたり壊そうとしたりしない限り人間とのトラブルになることは少ないでしょう。しかし見た目がスズメバチに似ている種類もいるため恐怖を感じる人も多いのが実情です。また古い巣は別の蜂や虫に再利用されることもあります。もし生活に支障がない場所であればそっとしておいても害はありません。彼らは庭の害虫(青虫など)を狩ってくれる益虫でもあるからです。しかし洗濯物に泥がつくのが困る場合や子供の手の届く場所にある場合は駆除を検討する必要があります。駆除する場合巣の中に成虫がいないタイミングを見計らって(多くのドロバチは巣を作って卵を産むと去っていきますが種類によります)ヘラなどで削り落とすだけで十分です。中に蜂がいる場合は殺虫スプレーを使用しますが反撃のリスクはスズメバチに比べれば遥かに低いです。黒い蜂が泥を運んでせっせと行き来する姿は健気な職人のようでもあります。その泥の塊は彼らが次世代に命を繋ぐためのシェルターであり自然界のたくましさを象徴する小さな芸術作品とも言えるでしょう。