犬や猫、ハムスターなどの哺乳類、そして金魚や熱帯魚、カブトムシなどの昆虫を飼っている家庭でバルサンを使用する際は命に関わる重大な注意が必要です。バルサンの主成分であるピレスロイド系の薬剤は哺乳類に対しては比較的安全性が高く体内に入っても短時間で分解・排出されるため正しい使い方をしていれば重篤な中毒症状を起こすことは稀です。しかしそれは「使用中は部屋の外に避難させ、使用後は十分に換気をする」という大前提があっての話です。使用中の部屋にペットを残すことは絶対に避けてください。特に体の小さな小動物や鳥類は薬剤の影響を受けやすいため必ずケージごと屋外や別の部屋に移動させなければなりません。そして最も危険なのが「魚類・両生類・爬虫類」と「昆虫」です。ピレスロイドは昆虫の神経に作用して死に至らしめる毒ですが魚類や両生類に対しても極めて強い毒性を発揮します。水槽がある部屋でバルサンを焚く場合、エアーポンプ(ブクブク)を止めてビニールシートで水槽を完全に密閉する必要があります。わずかでも薬剤が水に溶け込めば全滅する恐れがあります。プロのアドバイスとしては「魚がいる部屋ではバルサンを使わない」のがベストでありどうしても使う場合は水槽ごと別の部屋に移動させるべきです。移動が不可能な大型水槽の場合は目張りを完璧に行う必要がありますがリスクはゼロになりません。またカブトムシやクワガタなどの昆虫ペットにとってはバルサンはまさに殺戮兵器そのものです。彼らには耐性がなく微量でも即死しますので絶対に同じ空間に置いてはいけません。使用後は人間が入室して十分に換気を行い床に落ちた薬剤を拭き取ってからペットを部屋に戻します。特に犬や猫は床を舐めたり体をこすりつけたりするため拭き掃除は念入りに行う必要があります。万が一ペットに異常が見られた場合はすぐに獣医師に相談しバルサンの成分(メトキサジアゾン、フェノトリンなど)を伝えてください。大切な家族の一員であるペットを守るために人間以上に慎重な対策が求められるのです。