スズメバチ駆除で防護服を着た後の正しい行動とは
たとえ最高品質のスズメバチ用防護服を完璧に着用したとしても、それで安全が完全に保証されるわけではありません。防護服はあくまで物理的な防御壁であり、その後の行動こそが身の安全を左右します。防護服を過信し、無謀な行動を取れば、それは意味がないばかりか、かえって危険な状況を招きかねません。まず、巣に近づく際は、絶対に走ったり、慌てた動きを見せたりしてはいけません。蜂は素早い動きに敏感に反応し、敵意の表れと判断します。ゆっくりと、静かに、慎重に行動することが基本です。また、大きな音や強い振動も蜂を極度に刺激します。作業中に道具を落としたり、大声を出したりする行為は厳禁です。万が一、一匹の蜂が威嚇のために周りを飛び始めたら、それは最終警告のサインです。カチカチという警戒音を立て始めたら、状況はさらに深刻です。この段階で作業を強行すれば、総攻撃を受ける可能性が非常に高くなります。そのような場合は、決して蜂を手で払いのけようとせず、静かに、ゆっくりとその場を離れるのが賢明な判断です。背を向けて逃げると追いかけてくる習性があるため、後ずさりしながら距離を取るのが良いとされています。そして、駆除作業が終わった後も油断はできません。防護服の表面には、興奮した蜂が付着していたり、警報フェロモンが付着していたりする可能性があります。建物の入り口から離れた場所で、仲間がいれば互いに確認し合いながら、慎重に蜂を払い落としてから防護服を脱ぐ必要があります。防護服は魔法の鎧ではありません。それを着た上で、いかに蜂を刺激しないように振る舞うかという知識と冷静さが、真の意味で自分の身を守ることに繋がるのです。