ここまで様々な黒い蜂を紹介してきましたが「安全だとしてもやっぱり蜂は怖い」「家には来てほしくない」という人もいるでしょう。黒い蜂を遠ざけるための環境づくりにはいくつかのポイントがあります。まず多くの黒い蜂(クマバチ、ハナバチ類)は花を求めてやってきます。したがって庭に花を植えれば彼らが来るのは自然の摂理です。彼らを排除したいのであれば蜜源となる植物を減らすしかありませんがそれではガーデニングの楽しみが失われてしまいます。現実的な対策としては「巣を作らせないこと」に注力すべきです。クマバチは枯れ木や古い木材を好むため庭に放置された廃材や腐りかけたラティス、木製のベンチなどは防腐剤を塗るか撤去します。クロアナバチやツチバチは乾燥した裸地を好むため庭の地面をグランドカバープランツで覆ったり砂利を敷き詰めたりして土が露出しないようにすると営巣を防げます。ドロバチやアシナガバチ(黒っぽい種類もいる)は雨風の当たらない軒下を好むため定期的に点検し作り始めの巣を見つけたら小さいうちに除去します。また蜂が嫌がる成分(木酢液やハッカ油)を薄めて庭木や壁に散布することも一定の忌避効果があります。しかし考えてみてください。彼らは受粉を助けたり害虫を食べてくれたりと私たちの生活に恩恵をもたらしてくれている存在でもあります。無闇に全ての虫を排除した庭は生態系のバランスが崩れ特定の害虫が大量発生するリスクも高まります。「家の中に入ってきたら出す」「通り道に巣を作られたら対処する」といった最低限のラインを引きそれ以外は「見て見ぬ振りをする」あるいは「季節の風物詩として楽しむ」という共存のスタンスをとることがお互いにとって最もストレスの少ない関係かもしれません。黒い蜂の正体を知り彼らの生活圏と人間の生活圏が重なっていることを理解する。その上で適切な距離感を保つことが賢い付き合い方です。黒い影におびえる日々から知識を持って冷静に対処できる日々へ。この記事がその一助になれば幸いです。