ガーデニングを楽しんでいると地面スレスレをゆらゆらと頼りなげに、しかし絶え間なく飛び回っている黒い蜂を見かけることがあります。体長は2〜3センチほどで全身が黒く種類によっては腹部に黄色い縞模様があったり羽が青く輝いていたりします。そして何よりの特徴はその名の通りスラリと長い腹部です。彼らの名前は「ハラナガツチバチ」や「キオビツチバチ」などのツチバチ類です。彼らの行動は一見すると不審で何かを探しているように見えますがまさにその通りで彼らは土の中に潜む獲物を探知しようとしているのです。ツチバチは寄生蜂の一種でありコガネムシの幼虫を専門のターゲットとしています。コガネムシの幼虫といえば植物の根を食い荒らす園芸の大敵ですがツチバチのメスは土の上から幼虫の匂いを嗅ぎ当てると前足で穴を掘って地中に潜り込み幼虫を麻痺させて卵を産み付けます。孵化した蜂の幼虫はコガネムシの幼虫を食べて成長します。つまりガーデナーにとってツチバチは憎き根食い虫を退治してくれる非常にありがたい「益虫」なのです。人間に対する危険性ですがツチバチは非常に大人しく攻撃性は極めて低いです。彼らは巣を守るという習性を持たず単独で行動するため人間が集団で襲われることはありません。メスには針がありますが手で握ったり踏んだりしない限り刺すことはありません。オスに至っては針すら持っておらず毒もありません。オスは集団で草木にぶら下がって眠る習性があり「蜂団子」のような塊を作って人を驚かせることがありますがこれも全くの無害です。黒くて長い体が地面を這うように飛ぶ姿は少々気味が悪いかもしれませんが彼らが庭にいるということは土壌が豊かでコガネムシがいる証拠でもあり自然のバランスが保たれている印です。もし庭仕事中に彼らが近づいてきても慌てて殺虫剤を撒いたり叩き落としたりする必要はありません。彼らはあなたではなくあなたの育てた花を守るために地下の害虫と戦ってくれている頼もしい味方なのです。その黒いシルエットを見かけたら「お仕事ご苦労様」と心の中で声をかけそっと作業を続ける余裕を持ちたいものです。
庭を低空飛行する黒い蜂ハラナガツチバチは益虫か